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○ 突出しは重要なメニュー。

ともすればおざなりになりそうな突出しですが、私は客として居酒屋などで飲むとき、突出しで店のレベルを量ることをやりました。 
どんなものを出してくるかで、その後の料理の期待度が変わってきます。 
いい加減なものを出してくる店はやはり、それなりのものしかその後も出てこないことが多く、突出しに力を入れている店は、総じて満足感が高かったように思います。


さて、当時の店では漬物と大根おろしが突出しのメニューでした。 
東京の名店からの流れでそうなっているようでした。 
味についての問題はないのですが、私は少し不満でした。 

焼き鳥店の場合、最初のドリンクはほとんどがビールになります。 ビールだと、味の濃い食べものが合うと思うのですが、漬物のようなあっさりしたものを突出しとして出すのはどうかと思いました。 
恐らくは何年もこの突出しを出してきたのでしょうが、悪い意味でのマンネリになっているのではと思われました。


私はこのマンネリを打ち破ってみたいと思いました。 
狙いはいくつかありました。 
変わることがないと思われている突出しを敢えて変えることによって、店もサービス向上の努力をしているとアピールすること、スタッフに突出しの変更を投げかけることにより、彼らの探求心と問題意識を刺激することでした。 
もう一つ、焼き鳥店とあって、フードメニューがどうしても固定化してしまうので、突出しに季節感を出したいという狙いもありました。
人間というのは、マンネリを好みながら、マンネリを嫌うものです。
つまり、同じ店に行き続けながらも、店にちょっとした変化を求めたいものなのです。
他の店に行くのはちょっと二の足を踏むが、代わり栄えのしないメニューというのも嫌なものなのです。
そこにちょっとした変化があるだけで、お客さんは満足してくれると言い換えてもかまいません。
それを突き出しの変化で出したいと思ったのです。



新メニュー開発のときに懲りているので、開発はスタッフに任せました。 
突出しを軽視しているのか、開発に難しさがあるのか、当初は試作したいという声さえ上がってきませんでした。 
それでも私の意図を何度も説明し、考えるよう促していると、一人の店長から和え物の提案が出てきました。 
ビールに合うものを、という当初の狙いからは外れたものでしたが、味の面では問題なく、スタッフからの提案ということを重視してゴーサインを出しました。 
また、夏場はなかなか出ないメニューの煮込みを、ポーションを落として突出しとして提供する動きも出てきました。 
こちらのほうは味の面でも問題なく、脂の乗った濃い味であるので、ビールに合うという点では申し分なく、コストも考えているということで、文句の出ないものでした。

焼き鳥店で試みた突出しの改変は、当初の思惑とは外れたものではありましたが、それなりに満足すべきものでした。 
客の反応は特にいうほどのものはありませんでしたが、それは突出しという品の性格上、致し方のないものといえます。 
スタッフと常連客の気分策新という効果は出たと考えられるので、ある程度、意図は達成できたかと考えられます。 




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