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| ○ ストロングポイント(長所)に磨きをかける。 |
小さな飲食店が、大きなチェーン店や有名店に伍してやっていくためにはどうすればいいか。 この店ならではの価値を追求していくことだと私は思います。 客の側から考えると、どこの店でも行く自由はあるわけです。 にもかかわらず、あの店にいきたいと考えるのはなぜか。 行こうとする店に、その店にしかない価値を見い出し、その価値に対してお金を払っても惜しくないと考えるからこそ、店に行くのです。 マネージャーをやる以前、私がよく通っていた焼き鳥屋がありました。 家族経営の、それほど大きくもない店でしたが、客入りはいつもよい店でした。 通っていた理由は、そこで出している皮の煮込みです。 これが絶品。 必ず注文する品でした。 鍋などもおいしかったので、だしがよかったのだろうと思いますが、客のほとんどが注文するもので、この店の名物でした。 焼き鳥は・・・まあ、一応注文するかな、というレベル。 焼鳥店の水準にはありましたけど、これを食べに来るというほど特筆するほどではありませんでした。 接客は、家族経営だけに温かみのあるもので、いつも、誰からもにこやかに接客してもらい、非常に気分よく過ごせる店でした。 また、ある坦々麺専門店も一時期、バカのように通っていました。 この坦々麺も絶品でした。 接客は、ま、フツーレベルでしたけど、この坦々麺を食べてしまうと、よその店のは食べられませんでした。 この店は内部のゴタゴタですぐに潰れてしまったんですが、その後、坦々麺を求めて他の店を開拓しては、その度に裏切られ、ついには坦々麺を食べるのをやめてしまったぐらいです。 客をして、これを食べに行く、と言わしめるような料理を一つ持っていると、その店は強いです。 他の料理が飲食店としての平均水準にあれば、その料理を食べて、ほか何品か食べれば満足するのですから。 なので、逆に考えると、個人店や小規模店は、これという料理を最低ひとつは持っていなければいけません。 それが別に町一番である必要は特にありません。 この店のこの味、が、よそでは味わえないものであればいいわけです。 店の個性、店主の個性を表現した一品を用意するべきだと思うのです。 店として自信を持って出せる品を一つでも持っているかいないか。 これがあるかどうかで、店のスタンスも変わってきますし、客の印象も、客入りも変わってきます。 確たる自信を持った店には、自然に客が寄ってきます。 それを持たせるのがその店の看板メニューということになります。 この看板メニューには、2つの方向性があると思います。 10人から90点をもらえる味と、2−3人から120点をもらえる味という方向性です。 他のメニューの水準や、近隣との兼ね合いになりますが、競争の激しい場所なら、後者を狙うのも面白いかと思います。 店の売りは別にメニューだけである必要はありません。 接客も重要な要素です。 一見客に印象の残るような接客ができれば、その一見客は高い確率で再来店してくれます。 マニュアル化した接客は、確かに素人を短期間に戦力にします。 だけど、決まりきったコトバをロボットのように吐き出すだけの接客に、温かみを感じる人はどれだけいるでしょうか。 やっているほうも決まりだからやっている、聞いているほうもそれがマニュアルどおりだということを承知して、その定常句が終わるのを待っている。 そんな関係に、親近感を感じることはないと思います。 不満はないけれど、満足を感じることもない、そんな印象を覚えるのが大半ではないでしょうか。 こういう接客でも通るのはネームバリューの通ったチェーン店だけです。 つまり、失敗のない選択をした来店客に対し、失敗のない接客をするために、マニュアル化しているに過ぎないのです。 従って大規模チェーン店の場合は、接客にしても味にしても、100点満点で60点を取ればとりあえずはいいということになります。 後は近隣に同種の店がどれだけあるかが生存要件となるわけです。 その地域の人的・経済的キャパシティに対して店舗数が過剰なら、総得点数の低い店から淘汰されていくだけのことなのです。 翻って、個人店・小規模店の場合は、このような失敗のない接客では、それだけで客をつかむことは難しいと思います。 客をつかむというのは、心をつかむということです。 心をつかむ接客をするにはどうするか。 心を込めて接客をする、心を読んで接客をする、というような、来店客の心に訴えかける接客をする必要があるわけです。 マニュアル的な接客では、心に訴えかけることができないのは、自分が客になったときのことを考えればすぐにわかると思います。 接客というのを難しく考える向きもいますけれど、自分が客になった場合、どうしてもらうと気持ちよく時を過ごせるか、これが基本になるわけです。 接客の基本的動作は決まっているわけで、それをどれだけ臨機応変に、柔軟に運用できるか。 心をつかむ接客は、このあたりがポイントになるわけです。 特別なことをやるわけではなく、細やかに気遣いを見せる。 丁寧だけれどもよそよそしさを感じさせるような接客ではなく、不器用であっても気遣いを感じさせるような接客のほうが客の受ける感銘は大きいものです。 一流ホテルや料亭のような接客態度は、客を一定以上に近づけないのが特徴のひとつです。 しかし、個人店や小規模飲食店の場合はもう少し入ってもいいかと思います。 ただ、入りすぎると疎ましがられることになるので、その距離感をつかむのは年季が必要ということになります。 若い人なら、マニュアル型の接客はすぐに覚えるでしょう。 しかし、気遣いを見せるような接客は、経験が必要であるだけに、一朝一夕にできるものではありません。 そして、こうすればいい、というマニュアルも存在しません。 店の格や雰囲気、メニュー、客によって変わるからです。 これほど変動要素が多い場合、マニュアルは成立しません。 マニュアルというのは変動要素を簡素化・集約化して初めて成立するものですから。 マニュアルを覚える記憶力に代わって必要とされるのが、経験や知恵になります。 これらは、向上しようという意識を持っている限り、年月を重ね、経験を重ねるごとに重厚になっていくわけです。 何年も続いている飲食店が存続し続けている要素のひとつがこの辺りにあるわけです。 価格的な要素もストロングポイントになり得ます。 ロケーション、立地条件、周辺人口や競合店の存在などの地勢的要件もストロングポイントになるわけです。 すぐれたインテリアや調度品、什器備品の類もストロングポイントになり得ます。 しかし、これらは比較優位的な要素であり、優勢な存在がある日突然現れる可能性があるわけです。 これだけで勝負し続けるのはなかなか難しいような気がします。 やはり、飲食店の場合はメニューや接客要素などの、無形的な要素でストロングポイントを作っていくほうが強いと思います。 飲食店は、食事というサービスと接客というサービスを、店という空間でサービスする業態と定義できるわけです。 メニューや接客という主的要素でストロングポイントを作ることが重要であることは、この定義からもわかると思います。 ウィークポイントを消していくよりも、ストロングポイントを作っていくほうが、個人店・小規模チェーン店には効果的です。 頑固オヤジのいる店がなぜ続いているか、うらぶれた外観の店がなぜ続いているか、そういったことを考えると、よくわかると思います。 経営資源に限りのある場合、数あるウィークポイントを消していくよりも、数少ないストロングポイントを作っていくほうが、労力が少なく得られる利益は大きくなります。 まずはストロングポイント、次いでウィークポイントという順で手を付けていくのが、人気を得、評価を得て、収益を上げるには効果的だと思います。 マネージメントトップページ 飲食ビジネスノウハウ集 |
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