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| 阿木慎太郎 |
阿木慎太郎のレビューページ。 「極道狩り」シリーズがセンセーショナルで、これが一躍有名になったという印象があるが、他にも秀逸なアクションエンターテイメントを多くものしている作家。 格闘シーンの描写がかなりリアルなので、経験ありとひそかに睨んでいます。 極道狩り(闇の警視)シリーズ 喧嘩道シリーズ 必殺拳シリーズ 弔いの刃・赤い死神を撃て |
| 極道狩り(闇の警視)シリーズ |
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当初「極道狩り」、後に文庫版として「闇の警視」シリーズとして刊行されたシリーズ。 これはセンセーションでした、個人的に。 通常の法や警察組織では裁けない、壊滅させられない暴力組織を壊滅させるため、警視庁が組織した非合法チーム。 ノンキャリアの警視正をトップに、キャリアの俊英と検察官。 実働部隊は・・・。 かつて、妻を殺され、復讐に上司の署長を殴り殺した元キャリア警視。 尻尾切りに遭い、刑務所生活を余儀なくされた元公安に渡世の義理で鉄砲玉を務めた一匹狼の元ヤクザ。 彼らが、暴力団を壊滅させるため、手段を問わない作戦に出る・・・。 元キャリア警視・岡崎というキャラクターが非常に魅力的なこのシリーズ。 ヤクザをただの一撃で殺すだけの実力と、部下に対する温かな目線。 凄まじい暴力シーンもさることながら、キャラクターを浮き立たせる人物描写、心理描写が良く、かなりのめり込んでしまいました。 警察の暴力団に対する生温さを見るにつけ、こんな組織が本当にあったら・・・などという空想をしてしまいます。 この人も敵方のキャラクターを描くのが得意で、対決する暴力団側にも魅力的なキャラクターが多く登場します。 彼らが大きな流れに飲まれて破滅していくのがサブテーマになっているようにも見えます。 第一シリーズは5巻からなっていますが、巻を追うごとにパワーとハードさが増していきます。 事務方から一転、実働部隊に参加した女検察官、有川が派手にやられるのもひとつの見せ場かも・・・。 ますます困難になる任務、そしてついに死者が出る。 部下を殺されたときの岡崎率いるチームの暴れぶりの凄まじさ。 ガンに侵された岡崎が、最後の作戦に出て・・・。 単純なアクション小説でもなく、勧善懲悪でもないだけに、スカッとしたい人には向きませんけど、秀逸なエンターテイメント小説です。 発売当時は相当な話題となりましたが、今読んでもスピード感と圧倒的なアクションは健在です。 第1シリーズ最終巻で死した岡崎に代わり、元公安警察官・神木を主人公として第2シリーズが始まっています。 (20.04.06) |
| 喧嘩道シリーズ |
これも阿木慎太郎の人気シリーズ。 日本で暴力団の資金源、賭博対象として開催されているアンダーグラウンドのセメントマッチ(真剣勝負の試合)。 最低限の反則を設定し、それ以外は何でもいいというルールで、当然のように死者も出ている凄惨なリング。 世界各国の軍隊で格闘技教官として徒手格闘技を教えている岸田龍一はひょんなことからその闇試合のプロモーターと知り合い、試合に出ることになる。 強豪と恐れられていた相手を難なく一蹴した岸田に、新たな試合が提示される。 相手は連戦連勝のチャンピオン。 抜群の実力を持つ相手に、岸田は死力を尽くして戦うが、強すぎて挑戦者のいなくなったチャンピオンは、新人を相手に片八百長を行い、相手にわからないように負けてやるつもりだった・・・。 命のやりとりを数多く行い、特殊部隊を含む軍人相手に格闘技を教えているという主人公が、表世界のチャンピオンさえ恐れるアンダーグラウンドの試合に身を投じ、抜群の格闘能力を武器に、血みどろの死闘を繰り広げるというこのシリーズ。 友情と男女の愛憎、親子の愛憎というテーマを盛り込み、キレのいいアクション小説という印象。 アクションシーンも豊富で、アンダーグラウンドの試合でのファイトシーンは、対峙するときの心理描写が豊富で面白いです。 美貌のプロモーター・高見沢晶子とその妹との絡みや、かつて戦ったセメントマッチのチャンピオン、金井との友情が小説の口あたりをよくしています。 最終巻のラストシーンの清涼感がとてもよく、きれいにまとまったシリーズです。 (20.04.07) |
| 必殺拳シリーズ |
| 実戦空手を標榜する流派、大内空手に養子として迎えられ、日米で名声を得るも、突如大内空手を破門となった男、荒木鉄也。 大内空手の指導員がアメリカで次々と変死し、遺恨ある総帥の大内哲治から、事件の真相究明を仕事として依頼された。 指導員たちは決まって野試合をした後、腎臓病で死んでいた。 「三年打ち」のような技術で空手の達人を殺すような技量を持つ人間がいるのか? しかも大内哲治はガンで余命いくばくもない状態で、かつて恋愛関係にあった哲治の妹・由美子が跡を継ぐという。 複雑な感情を抱く鉄也。 空手を離れていたという鉄也に、大内哲治は大内空手の師範との試合を命じる。 トップクラスの指導員を一蹴する鉄也。 蒼白となる哲治。 彼を尻目に、鉄也はニューヨークへ旅立つ。 NY近郊にはかつて働いていたディスコがあった。 アンダーグラウンドの世界で有名なディスコ、ミラクルは闇試合を開催していて、そこの用心棒は腕に覚えがないと務まらないが、鉄也はそこでトップクラスの評価を受け、ついには伝説の男、2mを超える巨人モンクをも倒し、「ミラクルハンド」と呼ばれる伝説的存在になった・・・。 非常に魅力的なキャラクター、荒木鉄也が活躍するこのシリーズ。 由美子との微妙な関係、巨人モンクとの絡みが面白さを増しています。 地しょう拳という聞きなれない(漢字もない)拳法の使い手との対決や、かつての弟子との邂逅、ミラクルでの回想シーンがストーリーを盛り上げています。 ラストシーンがカラリとした読後感を作り出し、後味もよいこの作品、趣向を変えて2作ほど続巻が出ています。 更なる続巻を期待したいですけど、拳聖シリーズみたいに死んでしまうのもイヤなので、微妙といっておきますか・・・。 (20.04.07) |
| 弔いの刃・赤い死神を撃て |
| 元公安警察官、木村彰一が活躍するシリーズ。 組織内の軋轢で退職した元公安警察官・木村彰一。 どういうわけかロシア人諜報員に好かれ、その手ほどきを受けたボルシチを名物とするスナックを開き、ひっそりと暮らす木村。 そこに現れた美貌の女。 かつての情報提供者の妹で彼に敵意を抱く彼女は、中国人密入国者と恋に落ち、トラブルを抱えた彼のため、木村の助けを求めに来たのだった・・・。 中国人密入国者を追う中国マフィアに雇われた中国拳法と中国剣術の達人で凄腕の殺し屋。 囚われの身となった女を救いに、木村は死地へと向かう。 殺し屋との死闘。 青龍刀を自在に使いこなす殺し屋の技術の前に、絶体絶命の木村。 傍観していた日本人ヤクザは木村の構えの中にかつての強敵であった剣道選手の面影を見出し、日本刀を投げてやる。 「刃筋を立てろ。」 という助言とともに。 元公安警察官で今はスナックのマスター、身辺には今も公安の監視がつくという境遇の主人公が、本人の望まないままにトラブルに巻き込まれ、強敵と対峙するというストーリー。 かつてはノンキャリアの中でも将来を嘱望された警察官であり、公安組織の中でもエース級と目されていた彼が、なぜ警察を辞めたのか。 そして公安の執拗な監視の意味は? 自殺したかつての情報提供者が死んだ原因を知りながら、その妹には話せない苦悩。 あまり軽いストーリーではないですが、ストーリーテラーの阿木慎太郎作品らしく、読者をグイグイ引き込みます。 日本刀を投げたヤクザとの友誼、そしてスナックの名物となっているロシア人諜報部員との友誼が、続編となる「赤い死神を撃て」に引き継がれ、公安を辞めた理由とともに、続編の大きな骨子となっています。 続編で登場したロシア人テロリストが日本を脱出するところで終わるラストシーンは、続編の可能性を強く示唆していますが、今のところ刊行されてないかな? (20.04.07) |
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