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安積警部補シリーズ
かつてのTVドラマ、「部長刑事」のような、普通の刑事たち(といっても普通でなかったりするけど)が奮闘する安積警部補シリーズ。

今野敏の警察小説には3つのラインがあると思うが、そのうちの1つのラインを構成する警察小説群。
安積警部補の視点や心の動きの描写を中心に展開していく。
長編小説と連作短編小説とがあり、いずれもハッピーエンドにしていて、エンターテイメントとしての質を上げようという著者の努力を感じるところである。

どの巻をとっても期待に背くことはないというのは、エンターテイメントには不可欠な要素であるが、このシリーズにはそれがある。
物語の重層性と深み、長編の場合にはこれがきちんとあり、グイグイ引きこまれることになる。
短編の場合は物語としての起承転結がはっきりしていて、ページの先を早く読みたくなる、一作読んでしまっても、もう一作、という気持ちにさせられることになる。

安積班を構成する刑事たちの描写が細かく、作品ごとに脚光を浴びる刑事がいて、それが巻を重ねられる大きな要素となっている。
また、交通機動隊の速水隊長という魅力的なサブキャラクターがいて、物語で時に重要な役割を担っている。

著者自身がもっとも気に入っているのは須田刑事ではないかという気がする。
太っていて動きは鈍重だが、頭脳明晰でしばしば捜査本部の「筋」とは違う読みをし、指揮を取る警察幹部とやりあうこともある。
しかし、彼の推理が元で事件が解決に向かうこともしばしば。
いってみれば狂言回し役を担っているのがこの刑事である。
格闘技の達人を主人公に置くことが多い著者が、格闘とはもっとも縁遠い人物を重要なキャラクターとしていることが、ここまで巻を重ね、読者の支持を得ている大きな要素ではないかという気がする。


(20.04.17)

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