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初めて?の心霊体験

初めて?の心霊体験をしたのは29歳の初冬のことでした

その年に会社を移ったのですが、移った先の会社の事務員が私に露骨な好意を寄せてきました。
仕事そっちのけで私になにかと話しかけ、周りには運命的な出会いだなどと吹聴してはしゃぎまわっていました。
上司や同僚らからその事務員は要注意ということを聞かされていた私はあえて突き放すこともせず、適当にあしらっていましたが、ふとしたことから彼女の恨みを買い、今度はいろいろと嫌がらせを受けるようになりました。 
上司らは、その事務員が会社を牛耳っていた役員(女性)のお気に入りということもあって注意もできず、私も、口より手が出てしまうほうなので、女性相手にそこまでする気になれず、じっと耐えていました。 
しかし、その女の嫌がらせはますますエスカレートし、私は、いささかな短絡的ではありますが、殺意が芽生えてきました。 
格闘技の研究の中で殺人技もいろいろと研究し、クライムノベルもいろいろと読んできた私は、犯罪を犯しても、計画的に行えば、警察を出し抜くだけの自信はありました。 
本当に殺しをするかどうか、明確でないままに、とりあえず、計画は立ててみようと、いつの日か考えるようになりました。

ある夜。
比較的早い時間に眠りについた私は、異様な雰囲気にふと目が覚めました。
目を開けると、胸の上に男が座り込んでいます。 
中年の、なんとも嫌らしい顔をした男が、アイスピックのようなものを振りかざし、ニヤニヤ笑いながら、私を見下ろしています。 
恐怖心よりも、猛烈な怒りが私の心を支配しました。 
すぐさま攻撃しようと体を動かそうとしますが、なんとしたことか、体が金縛りに遭い、まったく動きません。 
怒り狂った私はその男を睨みつけますが、その男はニヤニヤ笑いを止めません。 
さらに腹が立った私は何とか体を動かそうとしながら、睨み続けます。 
対峙するうち、その男の手に持った凶器の映像が、だんだん薄くなってきて、消えようとしています。 
その凶器が薄くなるとともに、私の体の自由も徐々にではありますが回復してきて、右手が動きそうになってきました。
凶器が完全に消えたとき、右手の自由が回復したのを感じ、一気にその男に手刀を叩き込みました。 
と、手刀が打ちこまれたと見えたその瞬間、男の姿は消え、私は体の自由を回復しました。 

しばらく呆然とその場に座り込んだ後、強盗かなにかが入り込んできたと思っていた私は、家中の戸締りを見て回り、すべて施錠されているのを確認し、さらに、1LDKの部屋中のすべての扉を開けて確認し、さらに天井までもチェックしました。 
しかし、何の侵入の形跡もありません。 
そのときになって初めて、その男が幽霊であったことに気付き、愕然としました。 
怒りと恐怖とで、興奮が冷めやらぬままに、それでも、翌日も仕事だったので、何とか寝ようとしました。 
さすがに電灯は消せません。 
家中の電灯をつけて寝ようとしましたが、到底寝られるものでもなく、30分ほど悶々とした挙句、出てきたら出てきたときのことと思い定めた私は電灯をすべて消して眠りにつきました。 
結局、その夜はそれ以上のことは起こりませんでした。

それまで心霊体験と無縁だった(と思っていた)私がいきなり強烈な心霊体験をしたのは驚きでした。 
その夜出てきた男は、表情が酷似していたことから、私に何かと嫌がらせをしていた事務員の女に憑依していた霊だと思われました。 
私がその女をもし殺してしまうと、その霊の憑依する対象がなくなってしまい、地獄に逆戻りする羽目になってしまうわけで、それをさせまいと、私に警告にきたと思われます。 
私も、殺しに逡巡を覚え、また、殺しをやるのは簡単だし、警察に捕まることはないとは思いましたが、それをやって、今度は逆に低級霊に憑依されるような身になるのはご免なので、殺すことは止めにしました。 

その男はそれから数ヶ月後にも出てきました。 
記憶が薄れているので細かい描写はできませんが、今度は凶器を手にしてませんでした。 
そのときも同じように対峙し、しばらくした後に消えました。 
2度目になると興奮もそれほどでなく、そのときは比較的早くに眠りについたように思います。

そんな体験があった後、頻繁に金縛りに遭うようになり、別項で述べるような超体験をすることになりました。 
その体験をする前に祖父が死に、祖父は古神道を熱心にやっていたので、祖父の死が何らかの影響をもたらしているように思えてなりません。 
殺しなどをやってはいけないということと、やってしまうとどうなるかということを警告する意味、敢えて霊的なバリアを外し、その女の憑依霊を現出させて警告したのではないかと。
 
この体験を、後になって何度も繰り返し思い起こすうち、あることに気付きました。
霊はエネルギー体であること、精神エネルギー体とでもいうべきものであることです。 
対峙した後、手刀打ちで消えたことから考えて、格闘技で鍛えた私の精神エネルギーで対抗できたことです。 
こう考えることができた後、霊に対する恐怖は以前ほど強いものではなくなりました。
とりあえず、霊に対しても対抗できることがわかったからです。

対立していたその女ですが、私に対しての嫌がらせはその後も続き、さすがに耐えかねた私が「殺す」と、聞こえよがしに公言すると、ビビったのか、露骨なものはなくなりました。 
その代わりに自分になにか手出しをしたら、すぐに警察に訴えるとか抜かしていました。 
噴飯ものです。 
その女は他の男性社員に対しても横柄な物言いをし、嫌われていたので、男性社員はみな、私に拍手です。
女性社員はさすがにその女をはばかって、私には近づいてきませんでしたけど。 
なにか嫌がらせをされるたびに、聞こえよがしに「殺す」といったので、その女は相当にビビったことでしょう。
表面上は、他の人間に対しての体面もあってか、無関心を装っていましたが。
またその女は、入ってくる女性社員に対していろいろと嫌がらせをしては辞めさせるということを繰り返していました。 
それでも反発する女性社員たちに対しては、チンピラをけしかけるなどと言って脅していたようです。 
そのようなことが続き、さすがに寵愛していた役員もかばいきれなくなり、配置転換させられ、ほどなくして、結婚を理由に退職していきました。 
しかしながら、あのような霊に憑依された女が、幸せな家庭を築けるとは到底思えません。 
 

結局その女は1年後に役員の引きで復職してきましたが、私に対する敵意は相変わらずでした。 
しかし、周囲に対しては、以前ほどの横暴さは影を潜めていました。 
多少は反省したのでしょう。


(17.12.07)
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